1.元紅酒(げんこうしゅ)
最もスタンダードな製法で、熟成期間は1~2年です。糖類が少なく、ドライで辛口の味わいが特徴です。かつて朱紅色の甕(かめ)に入れて売られていたことからこの名がつきました。中国国内で広く流通しており、料理酒としても使われます。
2.加飯酒(かはんしゅ)
元紅酒よりも約10%多くもち米と麦麹を使用し、糖化発酵期間も長く取ることで、より贅沢に造られます。3年以上熟成され、コク深くまろやかな口当たりで、辛口と甘口の中間のバランスの取れた味わいです。
3.善醸酒(ぜんじょうしゅ)
水の代わりに2~3年物の元紅酒を使って造られる、贅沢な紹興酒です。アルコール度数が高く、濃厚な甘みと芳醇な風味が特徴です。
4.香雪酒(こうせつしゅ)
元紅酒の製造工程で麹を追加し、水の一部に紹興酒の粕から取った焼酎を使用することで、最も甘みが強く、アルコール度数も20%前後と高めになります。アイスワインを思わせるような濃醇でとろみのある味わいです。
紹興花彫酒は、中国浙江省紹興市で作られる紹興酒の一種です。紹興酒は、中国料理で飲用や料理用として広く使われています。
「花彫」という名前は、かつて紹興市で、女の子が生まれると、その子のために造られた紹興酒を、美しい花模様が彫られた甕に入れて地中に埋め、娘が嫁ぐ日に掘り出して祝い酒として振る舞ったことに由来します。現在では、「花彫」は愛称として使われたり、長期間熟成させた紹興酒を指す言葉としても用いられています。
花彫酒は、もち米と麦麹を使い、伝統的な手作りで甕仕込み、甕貯蔵によってじっくり熟成されます。熟成期間には、3年、5年、10年、15年、20年など様々なものがあり、それぞれ異なる味わいを楽しめます。アルコール度数は15度から16度程度のものが多いです。
以下の分類は、直糖分(甘みを感じる糖類)の含有量によっても分けられます。
・干型(がんしん): 糖分15g以下/リットル。最もドライなタイプで、元紅酒がこれに属します。
・半干型(ばんがんしん): 糖分15g~40g/リットル。加飯酒がこれに属します。
・半甜型(ばんてぃえん): 糖分40g~100g/リットル。善醸酒がこれに属します。
・甜型(てぃえんしん): 糖分100g以上/リットル。最も甘みが強く、香雪酒がこれに属します。
なお、「老酒(ラオチュウ)」は長期熟成させた黄酒(ホアンチュウ、醸造酒)の総称であり、紹興市で作られたものだけが「紹興酒」と呼ばれます。